コーヒートークシリーズの次回作、〈コーヒートーク トーキョー〉が先日のニンテンドーダイレクトで発表されたのを受けて、やろうやろうと思いつつ積みゲーと化していたCoffee Talk Episode 2: Hibiscus & Butterfly(以下、コーヒートーク2)をプレイしたので感想と評価を正直に書いていきたいと思います。
前作もかなりはまりましたが、今作でもPS4版、PS5版、Steam版の3つのプラットフォームでトロコン&実績コンプをいたしましたので、詳細に書いていけると思います。累計プレイ時間は40時間位で、周回数は12週程度致しました。
トロコンor実績コンプをしたい方は、別記事にてほぼほぼ最速のチャート解説をしているのでそちらを参考にしてください。
コーヒートークシリーズとは
前作Coffe Talk(以下、コーヒートーク)は2020年にインドネシアのインディーゲームスタジオであるToge Productionsが開発、発売したゲームであり、PS4、Switch、Xbox One、steamの各プラットフォームで発売されました。
舞台は2020年のアメリカ・シアトルですが、現実世界と異なるのは登場する種族が人間だけではないこと。エルフやサキュバス、人狼など様々な種族が存在するSF世界となっています。
プレイヤーは夜間の時間帯のみ営業するカフェ「コーヒートーク」のバリスタとして、日々訪れるキャラクター達の会話を聞きつつ、飲み物を提供していきます。
ジャンルはアドベンチャーですが、選択肢でストーリーが変化するのではなく、上記の提供する飲み物がキャラクターの望み通りのものか否かでストーリーが変化するのがコーヒートークシリーズの大きな特徴と言えます。
本記事で紹介するコーヒートーク2は、前作から3年後の2023年が舞台となっており、ほとんどのキャラクター達が前作から続投します。そのため、コーヒートーク2をプレイするのであれば前作、〈コーヒートーク〉のプレイはかなり推奨です。
未プレイでも楽しめるようにはできているとは思いますが、それでも前作をプレイしていた方が内容も入ってくるし、ゲームシステム自体はほぼ変わっていないのでプレイしておいた方がよいと思います。
ちなみに、個人的にはゲーム内の落ち着いた雰囲気やキャラクターが妙に日本っぽいなと感じていましたが、どうやらシリーズのクリエイターのファーミ氏が日本のアニメ作品等に影響を受けているらしく絵作りは「エヴァンゲリオン」や「攻殻機動隊」から、ゲームソフトは日本のゲームにインスパイアされたゲームである「VA-11 Hall-A」から影響を受けているそうです。そう言われるとめっちゃぽいな~という印象。
また、ゲーム評価の指標として有名な海外のレビュー集積サイトmetacriticでのメタスコアは79点となっており、インディーゲームとしてはかなり高い評価を受けていることがわかります。(※前作は76点だったので上がっている。)
参考程度に前回私がレビューしたAAAタイトルであるStellar Bladeは82点ですので、インディーゲームでありながらAAAタイトルに迫るほどの評価を受けていることがわかります。
評価
前作から正当進化を遂げた良作。点数をつけるなら80点。
前作の時点で既にある程度完成されていた感がありますが、抜群のBGMセンスはそのままに、飲み物の完成画面のブラッシュアップ、預かり物要素の追加、異世界でありながら妙に現実世界とリンクするストーリーなどなど、新要素を追加しつつ前作の良さをしっかり引き継いだ良作となっていました。価格が1000円台で手を出しやすく、10時間程度は遊べてしまうのも魅力です。
点数をつけるなら80点です。正直、個人的にはもっと点数を高くつけたいところですが、登場キャラクターのほとんどが前作からの続投かつストーリーも繋がっているためストーリーを完全に楽しむならほぼ前作プレイ必須です。そのため、前作プレイ済みなら100点と言い切ってもいいレベルですが、前作未プレイの方でも楽しめるかどうかをゲームレビューでは考慮すべきと私は思っておりますので80点とさせていただきました。
前作プレイ済みのため、未プレイの方がプレイしたらどういう感想を抱くかは想像が難しいところではありますが、ゲームシステム自体は全く変わらないのでその点は問題ないと思います。ストーリーは前作からつながっていると先ほども述べましたが、前作の内容に関する会話自体はそこまで多くなかったので、前作未プレイの方が今作をプレイしても恐らく楽しめるのではと思います。
ゲームの雰囲気と完璧にマッチしたBGM
前作同様に、今作もBGMの出来が素晴らしかったです。コーヒーのイメージといえば、やはり気分を落ち着かせる時やリラックスする時に飲むものだと思うので、それに合うようにBGMやゲームのテンポがゆったりとしてた感じで流れていきます。癒し系のBGMといった感じですね。夜のカフェが舞台ということもあって、それらのBGMが非常によくマッチして、他のゲームにはないコーヒートークならではの雰囲気を味わえます。
BGMは、上記の画像の様に一覧のBGM一覧の中から好きなBGMを選んで再生することができます。特に選択しなければ基本的にランダムでBGMが流れていて、イベントが発生した際には特定のBGMが流れる仕様になっています。
個人的にお気に入りの曲は、「No Looking Back」です。途中から入ってくるピアノの進行が気持ち良すぎて、聞いた瞬間に即普段聞いているプレイリストに追加しました。Spotifyでは、コーヒートーク2の公式アルバムがあるので、気に入った曲があったり、コーヒートーク2は未プレイだけどBGMが気になる方はぜひ聞いてみてください。
また、AmazonでPS5版を購入した際には、特典としてまさかの公式サントラが付属しました。サントラ付属は他のゲームでは中々見たことないので、製作者側も恐らくBGMに自信があるみたいですね。
ちなみに、ゲーム内にはプレイリストの機能が存在します。そのため、ゲーム内BGMで気に入ったものがあれば、お気に入りの曲を追加して、プレイ中はその曲だけを再生させることも可能です。プレイの際にはぜひご活用ください。
現実世界と妙にリンクする社会風刺的ストーリー
前作同様に流石だなと思ったのがストーリーです。SF世界でありながら、妙に現実世界とリンクするテーマでストーリーを展開してきます。
特に印象的だったのは今作から新登場のリオナとルーカスのストーリー。
バンシーという霊的種族かつ少数種族の生まれのリオナ。インターネット上で"バンシーだから"という理由だけで差別を受けたことで自分の主張をすることに抵抗感を抱くように。
そんな種族でも社会から受け入れられるにはどうしたよいか。いわゆる"多様性"や"人種問題"がテーマのキャラクター設定、ストーリー展開となっています。
一方、インフルエンサーとしての葛藤や苦悩を抱えているルーカス。私が大好きなアーティストのCreepy Nutsの「バレる!」という曲に"自分で自分をより演じなきゃいけない羽目に"という歌詞がありますが、まさにルーカスのストーリーがそれでした。
ネットや周囲が求める「自分」と本来の「自分」が乖離していくことで、インフルエンサーとして成功しても、本来やりたいことがやれなくなっていく現状を変えるにはどうしたらよいか。ここ数年で劇的に増え、一種の職業となりつつあるインフルエンサー特有の悩みであるといえます。
このようにSF世界でありながら現実世界に通ずるストーリーとなっており、かなりセンシティブな話題を取り扱っています。ゲームを進めていて、関心させられると共に内容的に中々考えさせられました。
現代の社会問題に風刺的に切り込んでいくストーリーは、インディーゲームだからこそできる現代社会へのアプローチであると思います。
ブラッシュアップされた飲み物のビジュアル
前作からの変更点の一つとして飲み物のビジュアルが改善。全体的に飲み物の見た目がおいしそうになりました。今作では飲み物が完成した際には完成用の画面が表示されて、ゲーム画面全体を使って表示される仕様へと変更。前作は下記の画像の様に、大体画面の3分の1程度でしか表示されていなかったので大きく変更されました。
2つを見比べると結構変わってますね。相変わらずドット絵とは思えない完成度。前作より今作の方が見た目も圧倒的に映えていていい感じです。
新要素:預かり物とブルーピー、ハイビスカス
コーヒートーク2最大の新要素と言えるのが預かり物のシステムです。店を訪れたキャラクター達に適切な預かり物を提供できるかどうかでストーリーが分岐します。これが初見だと渡すタイミングが全然わからなくてかなり苦戦しました。ですが、2週目で真剣にストーリーを再度読み進めると、どのタイミングで渡せばよいかがなんとなくわかりました。預かり物自体は、ストーリー中でキャラクター達が勝手に渡したり、忘れて置いていったりします。
カフェの店主という主人公の設定や世界観を崩さずにストーリー分岐に影響を与える要素になっていて、個人的にはかなりいい要素だなと思いました。
また、ハイビスカスというブルーピーという飲み物のベースとして選択できる材料が2つ増え、飲み物の種類が大幅に増えました。ハイビスカスは赤、ブルーピーは青い飲み物となっており、彩りがだいぶ豊かに。
ブルーピーとは何ぞやと言った感じですが、どうやら青色のハーブティーらしいです。青色の飲み物とはインパクト強烈ですが機会があれば飲んでみようと思います。
賛否両論点:実績(トロフィー)の内容
実績(トロフィー)の内容ですが、Steamのレビュー欄を眺めてみると結構意見があったので言及。
前作と似た内容の実績(トロフィー)が用意されていましたが、今作でも実績(トロフィー)の中にバッドエンド回収のものがいくつか用意されています。
正しい飲み物と預かり物を提供した際にフラグが建つため、バッドエンド回収の為には、わざと間違えた飲み物や預かり物を提供する必要があります。
間違えた飲み物を提供した際のキャラクターの反応には少しネガティブなものもあるため、実績回収の際にわざとこの反応を見ないといけないのは確かに快く思わない人もいるのかなという印象を受けました。
私個人としてはアドベンチャーゲームではバッドエンド回収はよくある実績のため、全く気にしていませんでした。
他のアドベンチャーゲームは基本的に選択肢によってストーリーで分岐するものが、コーヒートークシリーズは提供する飲み物の正誤で分岐するため、そのゲームシステムが悪い印象の方にいってしまったのかなと思います。
一応気にする方は要注意ということでお願いします。
まとめ
お手軽価格(定価1700円前後)で程よいボリューム(15時間位)で実績コンプ・トロコンもしやすく、BGMのセンスも抜群、完成度の高いドット絵、現実世界にも通じるストーリー。インディーゲームとは思えない完成度、平均点の高さです。前作プレイ推奨であるのは続編ということで仕方ない部分ですが、前作も十分にプレイする価値ありのためその点もあまり問題なしと言えます。
次回作〈コーヒートーク トーキョー〉が2025年に発売予定となっています。タイトルの通り舞台をトーキョーに移してストーリーが展開されるのが予想されているため、どのような進化や変化を遂げるのか、今から非常に楽しみです。
本記事は以上になります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。