先日Stellar Bladeをプレイしトロコンまで達成したため、Stellar Bladeのトロコン難易度と各トロフィーの解説をした記事を投稿いたしました。
今回はそれに続いて、Stellar Bladeをプレイした感想と評価を正直に書いていきたいと思います。
ニーアを彷彿とさせる魅力的なケツと衣装に目が行きがちな本作ですが、アクションゲーとしての完成度もなかなかのものになっており、そちらについてしっかり触れていくつもりです。
記事の内容の性質上ネタバレを含みます。未プレイでネタバレを見たくないという方はブラウザバック推奨です。
Stellar Bladeとは
Stellar Bladeは2024年4月26日にPS5専用タイトルとして発売されたアクションアドベンチャーゲームです。
開発元は韓国に拠点を構えるSHIFT UPで、代表作は「勝利の女神:NIKKE」や、「デスティニーチャイルド」があります。どちらもスマートフォン向けゲームですが、話題性は抜群のアプリですので名前だけでもご存知の方は多いと思います。
このSHIFT UPが家庭用ゲーム機向けに初めて開発したのが、今回レビューするStellar Bladeです。
2019年に発表された時は「Project Eve」という名義でしたが、後に正式タイトルがStellar Bladeへと変更になりました。
私事ですが、確か2021年頃のState of Playで初めてStellar Bladeのトレーラーが公開されたのを見て、"なんかスゴそうなアクションゲーが出てきたぞ"と感動したのを鮮明に覚えています(笑)。当時はPS5が発売されて1年も経っていなかったので、まだまだタイトル数が不足していて、PS5の性能をフルで発揮するようなゲームが全然ないなかでのトレーラー公開だったので、本当に鳥肌が立ちました。かなり話題にもなっていたと思います。
ちなみに、海外のレビュー集積サイトで有名なmetacriticでのメタスコアは82点となっており、かなり高得点です。参考程度に、映画ハリーポッターシリーズに登場するホグワーツ魔法学校を舞台にしたホグワーツレガシーのメタスコアは84点です。ホグワーツレガシーはハリーポッターシリーズの人気もあってかなり話題になったタイトルでしたね。そのため、Stellar Bladeも間違いなく期待できるゲームであることがわかります。
評価
あと一歩で神ゲーの良作。点数をつけるなら85点
結論から申し上げますと、ストーリーさえ完璧だったら神ゲーでした。ストーリー以外は個人的には文句なしです。点数をつけるとしたら85点ですね。アクションゲーとしてのアクション性は本当に素晴らしい出来なのでホントにストーリーがもったいないなぁ...という感じ。
良い点
ここからは筆者がプレイしていて良かったと感じた点を挙げていきます。
アクション
アクションゲーなのでアクションの出来がいいのは当然でしょと思う方もいるかもしれませんが、数多あるアクションゲーの中でも突出してよい出来でした。
攻撃だけでも、ベータスキル4つ、バーストスキル4つ、通常攻撃のコンボや溜め攻撃、タキモードなど選択肢が豊富です。スキルを放つとイヴが縦横無尽に駆け巡ったり、上に飛び上がって地面に向かって武器を叩きつけたり...といった感じでどれも演出が派手で、スピーディーで爽快感があるためポチポチしてるだけでも楽しいです。スタイル抜群の主人公イヴがスタイリッシュに動く姿は見ごたえがあります。
また、スキルツリーの解放を進めていけば、スキルをくらった敵が確定でひるむようになるので、派手な攻撃をひたすら撃ち続けることも可能。爽快感ハンパないです。
防御面でも、ジャスト回避、ジャストパリィ、ガードがあります。
ジャスト回避、ジャストパリィは成功すればノーダメージな上にスキルツリーを解放していればそのまま反撃につなげることもできるので、基本やり得です。この2つは序盤こそタイミングが掴めず、なかなか決めれませんでしたが、慣れてくるとポンポンできるようになりました。回避とかパリィをうまく決めれるようになると、全能感というか気持ちよさで戦闘が一段と楽しくなります。ジャスト回避やジャストパリィは、一応予兆として敵が紫色や黄色に光るのでタイミングは分かりやすくはありますね。エグゾスパイン等の装備の効果で決めやすくすることが可能で、難易度をストーリーモードにすれば、ボタンが画面上に現れて入力時間に猶予が生まれるので、アクションが苦手な方への配慮もバッチリです。
敵の火力も高めではありますが、攻撃・防御共にプレイヤー優位にできているおかげで、アクションゲーとして重要な、爽快感、視覚的な演出、選択肢の多さ、決めやすさ、各アクションの強さ等の要素がストレスのないように丁度いい難易度でデザインされていると感じました。
BGM
BGMの良さを言葉で伝えるのは難しいですが、ゲームの雰囲気や状況にあわせた没入感のあるBGMが流れてきます。どれも聴いていて耳心地がとてもよかったです。
特に、エンヤというキャラクターがいるのですが、このエンヤというキャラクターに近づくと流れだす「運命を越えて」というBGMが個人的にぶっ刺さりました。エンヤのどこか悲壮感漂う歌声と、その後ろから聞こえてくる美しく穏やかなピアノの音がポストアポカリプスの世界観とマッチしていて非常に良かった。YouTubeでピアノの演奏動画を探して毎日聴いている程好きです。(笑)
また、BGMの多くは非常にNieR:Automataを彷彿とさせるものでしたがそれもそのはず。調べてみたらなんとStellar BladeのBGMを手掛けたのは、NieR:AutomataのBGMを手掛けた日本のクリエイター集団MONACAでした。(メンバーはNieR:Automataの時とは別)ちなみにですが、NieR:Automataのサウンドトラックはビデオゲーム史上最高のサウンドトラックの一つと言われていて、東京オリンピックの時には開会式の入場曲にも使われていました。私もニーアのBGMは普段かけるプレイリストに入れるくらいには大好きです。
NieR:AutomataのBGMをべた褒めする感じになってしまいましたが、要するにStellar BladeのBGMも疑いの余地がない出来だと言うことです。
世界観
いわゆるポストアポカリプス(=SF作品における文明崩壊後の世界)がテーマのゲームです。
ネイティブという謎のモンスターにほとんど支配されてしまった地球を取り戻す為に主人公イヴが戦っていくというのが本作のストーリーですが、何故世界はこんな風になってしまったのか、どうしてネイティブは地球に巣食い敵対しているのか、主人公イヴを含むキャラクター達はそもそも人間なのか。これらの秘密がストーリーを進めていくことで徐々に明らかになっていきます。かなり核心的な部分の為、触れはしませんがホントによくできています。結構詰んでる状態の世界になっていますが、世界観の設定としてはメチャクチャ面白い。情報のチラ見せが上手いので、ゲーム内では明言されていなくてもプレイヤー側がある程度推測できそうな情報が与えられ続けて、先が気になってくるのでゲームの辞め時がわからなくなります。
また、マップの随所に数多くちりばめられている、日誌やログ、メモリースティック等の収集物が終末世界の様子を細やかに演出しており、ポストアポカリプスの世界観をより強固なものにしてくれています。
個人的な意見ですが、ストーリーが始まる前の背景や舞台の理由付けとして、世界観の設定は非常に重要だと考えています。そのため、この作品の世界観の設定が抜群であることは非常に良い点だと思いました。
ビジュアル
間違いなく紳士の皆さんが揃って目が行ってしまうのがStellar Bladeのビジュアルです。 美麗なグラフィックでケツ、胸、眼鏡フェチの紳士達からの需要を満たしていきます。制作サイドの力の入れ具合が画像を見ればわかると思います。
真面目な話をすると、かなり美麗なグラフィックでありながら動作が安定しています。フレームレートが落ちるとか、画質が悪くなるとかいったことは一切なかったです。UIに関しても上記の画像を見てもらえればわかると思いますが、近未来の世界観に合ったデザインになっておりゲームと上手くマッチしています。また、アクションの項でも述べましたが、スキル発動時のビジュアルも美しく迫力があります。PS5独占タイトルということもあって、しっかり最適化されているのがよくわかりました。
やりこみ要素・周回要素
Stellar Bladeの特徴として収集物の多さが挙げられます。上記のようにアイテムの入ったコンテナがマップの至るところに配置されていて、強化素材やギア、エグゾスパイン、アクセサリーなどのアイテムを入手することができるのですが、このコンテナの数が軽く200を越えてくるので探しても探しても見つかります。(笑)
また、サブクエストの報酬やコンテナ内にはキャラクターの見た目を変更できる衣装が用意されてることがあり、こちらも70種類以上とかなり豊富です。
強くてニューゲームに該当するニューゲーム+では、1週目で配置されていた衣装とは別の衣装が用意されていたり、追加装備のギアやエグゾスパインは更に性能が向上したものを入手することもできます。
イヴのステータス強化に該当するベータコアやボディコアもニューゲーム+では強化の上限が引き上げられる為、こちらも再度探索して発見することでステータスを更に強化することができるなど、周回するメリットが多数用意されているのもこのゲームの素晴らしい点だと思います。
また、ミニゲーム的な感じで釣りの要素もあり、全部で25種類います。小さいものでは金魚から、大きいものだとジンベエザメが釣れます。こちらも全25種類コンプリートすると報酬で衣装をもらうことができます。
更には缶の収集もあります。こちらもマップのいたるところに配置されており、全部で49種類。こちらも釣りと同様に全取得で衣装が入手できます。正直自力で全て発見するのはかなりキツイので、全取得を目指す場合は攻略サイト等を確認するとよいと思います。
収集物はまだまだあります。メモリースティックや文書というStellar Bladeの世界観の設定を補完する役目を果たしたり、物語の核心に迫る情報がサラッと載っていたり、クスっと笑えるショートストーリーが載っていたりなど様々な一面を見せてくれるものです。
マップ上の兵士の死体等から入手することができ、コンテナの数を更に上回る300以上のメモリースティックや文書が用意されています。
また、ゲーム内で戦ったボスと再度戦うことのできるボスチャレンジモードも用意されています。このモードは、戦うボスと難易度を自由に選択することができ、イヴの強化状態も最小か最大で選択することができ、縛りプレイも可能となっています。このモードでも一定の条件を満たしてクリアすることでイヴの衣装を入手することができます。
ここまで紹介したように、収集物とやりこみ要素・周回要素がかなり多くあるため、探索や周回が全く苦痛じゃありませんでした。というか結構楽しかったです。収集物とやりこみ要素・周回要素の多さはStellar Bladeの大きな魅力であるともいえます。
悪かった点
ここからはStellar Blade唯一の欠点、ストーリーについて述べていきます。
ストーリー
Stellar Bladeのストーリーですがかなり薄いです。ストーリーとして最低限の体裁だけ整えたといった感じ。
個人的にずっと疑問符がつき続けたのが各キャラクター達の行動原理。どのキャラクター達もストーリー中でどうしてそのような行動を取るまたは取ったのかが謎のままなことが多いです。
まず大前提としてStellar Bladeの目標は、地球に巣食うネイティブという化け物の親玉であるエルダーネイティブを倒して、地球を人類の手に取り戻すというのが目標になっています。そして、これを指揮しているのがマザースフィアなる人物で、主人公イヴを含む人間たちは地球の外、つまりは宇宙のコロニー等で生活している状態...のはずです。(多分)
というのも、ストーリーは上司タキと主人公イヴの部隊が地球に降下するところから始まるのですが、そこからエンディングまでの間にタキやイヴの降下作戦前の描写や文章による明言が存在しないため、今までどのように生活していたのかが一切不明です。
親玉のマザースフィアが地球出身であるため、マザースフィアが地球を取り戻すという行動を取るのは理解できるのですが、上記のことを踏まえると、イヴやタキ達の降下部隊のメンバーがわざわざ命を懸けてまでネイティブと戦う理由がわからないんですよね。
そんな訳で、物語の根幹部分のネイティブからの地球奪還という行動に対しての意義とか意味が不明なままプレイヤーはイヴを操作してネイティブと戦い続けるわけです。プレイヤー側が完全に置き去り状態です。
次に超重要人物のアダム。主人公がイヴという名前に対してのアダムなので...未プレイの方はお察しください(笑)
アダムに関しては不明点が多すぎます。何故なんとなくでイヴを助けたのか。レイヴンとどのように知り合い、関係を持ったのか。オルカルとアダムの関係性はどのようなものなのか。エンディングにて、どうしてイヴではないといけなかったのか。というかそもそも今まで一体何してノコノコ生きてたのか。などなど、挙げだしたらキリがありません。
プレイ済の方なら分かっていただけると思いますが。どれもこれも、ストーリー的には重要な場面でありながら、その重要性に相応した背景や根拠が一切用意されていません。(他のキャラクター達もそうだけど、アダムは用意しとけよと思う)
明言等はせずともせめてヒントとかをストーリーやマップ中に散りばめてくれれば、ダークソウルシリーズみたいに考察する楽しさも残るのですが、ホントに情報がゼロなので考察のしようもないです。
正直言って主人公イヴを上回る超重要人物のはずなのに、本人の心理描写とか回想とか過去の情報が少なすぎるせいで、なんかいい奴だけどずっと薄気味悪い感じの印象しか残っていません。こんなのと合体してたまるか!
...と、その気になればストーリーだけで1記事書けそうな気もしてきたのでここら辺で。その他のことを簡潔に挙げておくと、マンがオルカルに従っている理由とか、そもそもマスターコア4つ集める必要性なくねとか、リリーがポッドの中にいた理由とか、なぜ地球奪還の作戦名が主人公イヴの名を冠したEVEプロトコルなのかとか...ストーリーの整合性や具体性はもう完全に放棄されています。考えるだけ無駄なので、諦めてストーリーはおまけ程度だと思ってプレイしましょう。
一応続編が出そうな終わり方をしているし、DLCがでるのも明言されているためそちらで補完されるのを期待しましょう。
総評
まとめに入ります。
ストーリーというゲームとして重要な要素が破綻していながらも、未プレイの人にぜひおススメしたいと言い切れるの程のアクションゲーとしての圧倒的なアクションの完成度。膨大な収集物によって生み出される探索の面白さ。明らかにストーリーより力を入れている耳に残るBGM群。PS5に最適化されたパフォーマンスで披露されるイヴのスタイリッシュなスキル演出や美しいグラフィック。壮大なスケールで用意された世界観。ストーリーが原因で神ゲーと言い切ることはできませんが良作であることに間違いはないでしょう。
前回レビューしたFF16はストーリーに力を入れてはいたけれど、戦闘面でのストレスポイントが多く、面白さが損なわれていたせいで個人的に評価が低かったのに対して、Stellar Bladeはストーリーは放棄されているが、アクション性抜群のためゲームとしての評価が高くなったので、かなり対照的になりましたね(笑)アクションゲーはストーリーを観てる時間よりもアクションしてる時間の方が多いのだからアクションの完成度の方が大事ということだと思います。
どんな人におススメできるゲームか
ストーリーに重きを置いてる方や、重厚なストーリーのゲームを求めてる方にはあまりおススメはできませんが、バトルが面白いゲームを求めている方、とにかく探索が好きな方、PS5をせっかく買ったのだからPS5の性能をフルで発揮したゲームをやってみたいと思っている方には間違いなくおススメできるゲームだと思います。
以上になります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。